ドラえもん 新のび太の大魔境 観てみたよ

投稿者: | 2019年7月9日

映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 500ラージピース 新・のび太の大魔境 500-L161
ドラえもん 新のび太の大魔境
(2014年 日本映画)
80/100点


ドラえもん映画は、残念ながら「リメイク」に限ると思っています。
今回、まさに30年以上前のドラ映画のリメイクです。

どうして、こうもオリジナルストーリーと盛り上がり方が違うんだろーなー。
ノスタルジックな美化もあるのでしょうが…、なんか分からんが、終始ウルウル感激していたもの。

あらすじは、「秘境を探せとジャイアンに命じられたのび太は、ドラえもんと衛星写真を使って調査に乗り出す。そんな折り、のび太は一匹の賢い犬と出会い、自宅で飼う事に。ペコと名付けられたその犬は、ある日無数の衛星写真から一枚を咥えのび太に見せるが、そこには謎の巨人像が写っていた。ドラえもんといつものメンバーが、アフリカの奥地に存在する巨人像を目指し、冒険に出発!」というもの。

純粋で、シンプルでいいですね。2014年という時代性に全く合っていない物語設定も、迎合していない感じで良い!
旧作とほとんど違わずに、物語は進みます。

どら2

序盤の緩やかな「冒険ごっこ感」がたまりません。ドラ映画の真骨頂です。「恐竜育成ごっこ」「スーパーマンごっこ」「探検隊ごっこ」「魔法使いごっこ」「宇宙戦争ごっこ」などなど。旧作ドラえもん映画の素敵な点は、概して、豪華でリアルな「ごっこ遊び」って感じが子供心をくすぐるのです。

普通だったら、「そんな普段着で冒険するか!?」とか、「危険過ぎるだろ、ジャングルなめんな!」とか言いたくなる突っ込みどころですが、そのお手軽感を狙っているのだから、文句なし。

「100点の答案を隠しに帰宅する」のび太。
「上級フランス語会話の番組を録画しに帰宅する」スネ夫。
「おトイレのために家に帰宅する」しずかちゃん。

そして、「そんな冒険があるかー!」と憤ったジャイアンが、「母ちゃんが怖くて帰宅する」という素晴らしいオチ。

ジャイアンに「猛獣引き寄せマント」なる道具を身に付けさせ、ジャイアンをトラに襲わせるイタズラを仕掛けます。
何食わぬ顔をしているドラ一同は、逃げ惑うジャイアンを尻目に、秘密道具を使ってバッタバッタと猛獣を叩きのめすのであります。

…引き寄せておいて、叩きのめす…。
意外に陰湿な奴らです。

案の定、不機嫌になったジャイアンは冒険を中止しますが、その夜、突如現れた巨神像に冒険再開を促され、再び旅に出発するのでした。

ジャイアンは「財宝の地図」を手に入れ、神の御神託とばかりに盛り上がっていますが、それに対し胡散臭そうにするドラ一同。
「この地図、わら半紙にサインペンで書いてあるよ」と冷ややかなツッコミを入れるのび太は、なかなかのリアリストです。

さて。
再出発の後、空き地に置きっぱなしだった「どこでもドア」を、不法投棄のゴミと勘違いされ、ばらばらに刻まれてしまいます。

『のび太の恐竜』の時にもあった、「家に帰れなくなる」子供にとって最大にハードな展開。
これこれ。ドラ映画には、普段のテレビシリーズにはない緊張感があるのです。

小学生の彼らが、本当に「命」を賭けてますぜ!
原作が楳図かずおであれば、大半が死んでしまう展開です。

さて。

登場人物のシンプルさも旧作の良さですね。
無駄な萌えキャラなど、一切いません。
「ペコ」と名付けられた、賢そうでいてどこかミステリアスな犬のみです。
ただの犬であるはずのペコですが…

序盤、冒険に出発する前にジャイアンに「号令」を促され、ドラ一同が「1!」「2!」「3!」…と番号を言って、最後にペコが「5!」と叫んで、「誰だ?」となる伏線。お見事としか言いようがありません。

そのあと、スネ夫に「ジャイアンを入れたら五人じゃないか」と言われ、そうかオレだったかと納得するジャイアンは、社員に上手に転がされている町工場の社長のようで素敵です。

dora 4

その後、ジャイアンのドジのために、いくつかの危機を招くことになります。
責任を感じながらも素直な態度になれず、拗ねたような態度を見せ続けるジャイアン。
それを感じ取ったペコはジャイアンを励まそうとし、ジャイアンはペコを抱いて泣き出すのでした。

そう、有名な話、本作はジャイアンが胆の物語です。

普段のジャイアンは、「カツアゲ」や「無差別暴力」を繰り返す、児童鑑別所行き寸前のガキ大将ですが、劇場版になると途端に頼もしい奴として活躍します。

ジャイアンの心の葛藤が物語の伏線となり、彼は終盤のピンチに立ち上がるのです。
「逃げろ」というペコをぶん殴り、ペコとともに死地へと向かうジャイアンの姿に、「あれが…、たけしさんの責任の取り方なのよ」と、しずかちゃんが名女優のように朗々と語ります。

そして、ドラ一同はペコとジャイアンの後に続き、闘える道具もない状況下で勝ち目のない戦場へと赴くのでした。
セリフの聞こえない無音の中、BGMもうまく流れ、とても感動的な場面です。まさに鉄板。泣けたー。

それにしても。

これ…、凄いと思ったものです。
だって、何気ですけど、ようは彼らは「死ぬ気」ですからね。ほぼ死ぬ事が分かってての行動なんです。

恐らくドラ映画史上、最も「命賭け」ではないかと思います。(『魔界大冒険』や『リトルスターウォーズ』以上に、『絶命必至の覚悟』だと思います)

敵兵に向かって行き、一人でも巨神像に近づくことができれば…という、ノルマンディー上陸作戦ばりの決死行。

なぜそんなに死ぬ覚悟ができるんだ!
みんな、凄すぎるぜ!
しかも普段着でかー!

そりゃもちろん、最後は「勝利」で終わるんですけど。アニメなんで。
でも、彼らの「死ぬ覚悟」を切実に感じてしまうほど、本作はハードボイルドなのであります。

dora3.png

さてさて。

前述したとおり、本作は原作や旧作に忠実です。無駄なものは足さない。
それでもいいと思うのですが…、2点だけ、手を加えてほしかった点もありました。

1.ジャイアンが物語の軸になる伏線が弱い。
いつものように始まって、いつものように登場したジャイアンが、急に物語の軸となる伏線が弱い気がしました。
オープニングで、彼が「冒険」についてもっと語るなりしてほしかった。
一応、それらしい場面はありましたけど、スネ夫も一緒だったため印象が薄まったかなと。

2.いくらなんでも、秘密道具「先取り予約機」は強引過ぎ。
昔から思ってました。いくらなんでもご都合主義過ぎるだろうと。
「先取り予約機」とは、「近い将来に同じことをする約束を機械に吹き込む事で、今すぐに願いが叶う」という道具。
しずかちゃんは、その機械を使って未来の自分たち5人を助けに呼び出すのでした。
こんなことが可能ならなんだって解決してしまえるでしょう。アイディア的にはとても安易です。

ここは変えてくるかなーと期待していたのですけど、原作のまんまでしたね。
(『鉄人兵団』でも、突然過去にタイムワープして『ロボット兵団の歴史を変える』だなんて、唐突!)

その他、ツッコミどころとか、印象的ないくつか。

・のび太のママの声が「三石琴乃」に変わったことで、妙に色気が出ています。イヤじゃないけど。時折のび太がシンジに見えそ…見えないか。

・序盤、巨神像を見つけるあたりから出木杉に助言を乞うあたりまで、もっと緊張感や高揚感があっても良かったと思います。ちょっとBGMも含め、ノリが軽過ぎた気がします。

・ジャイアンの声優の人が、どんどん上手くなっていってるね!

・のび太の「優しさ」にはもの凄い力があります。ペコにソーセージをあげる姿だけでも、なんかウルルときます。
落ち込んだペコを励ます時でも、自虐エピソードを織り交ぜたり、抜群のカウンセリング能力を見せつけます。

・「先取り予約機」で約束した通り、物語が終わった後、ドラ一同はまたまた激戦の地に向かわねばなりません。本来はヘトヘトになっているはずですが、ジャックバウワー並みの働きです。

ドラ

というわけで。
旧作リメイクの素晴らしさを改めて実感できた本作でした。

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