ファイト・クラブ 観てみたよ

投稿者: | 2019年7月14日

ファイト
ファイト・クラブ
(2000年 アメリカ映画)
80/100点


1990年代~2000年代の映画を観直していきたい衝動に駆られてます。
んで、今回は本作をチョイス。

映画史上ランキングで上位にランキングされることも多い本作ですが、実はあまり記憶にありませんでした。
覚えているのは、本作の終盤で明かされる「衝撃のサプライズ」くらい。

<結末のサプライズのネタバレはしません。>

で。

今回観直してみたんですが…

ああ…、こんな込み入った話だったけ…?

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物語序盤からしばらくは、「一体何の映画だろう」というくらい、本筋が分からない。
いわゆる「ファイト・クラブ(殴り合いの会)」が始まってからも、「一体何がしたいんだろう」というくらい、本筋が分からない。

ただし。

結局のところは、筋は結構単純でした。
満たされない人生を歩む主人公による、物質主義社会への反乱。
ブランド家具をぶっ壊し、チェーンの珈琲店をぶっ壊し、「人生そんなもんじゃないだろ!」って、主人公たちが抗うという…

いわばこれは…、うん、中二病の物語だ。

この主張、結構、ド・ストレートです。目新しさなど、特にありません。
けれど、ブラッド・ピットとエドワード・ノートンのパワフルな怪演のおかげで、陳腐に思わせない所がミソかも。

特にオーラ全開で、完璧にカッコ良いブラピに、「我々は消費者だ。ライフスタイルに仕える奴隷。殺人も犯罪も貧困も誰も気にしない。それよりアイドル、テレビ、ダイエット、毛生え薬、インポ薬にガーデニング…。何がガーデニングだ! タイタニックと一緒に海に沈めばいいんだ!」
と言われれば、「お、おうっ」ってなりますよ。

ただ、やってることは…、捻くれた子どものイタズラレベルだったりします。(終盤はシャレにならなくなってきますが)

とにかく、ブラピはさすが。存在だけで十二分に映画が成立するほどのパワー。
盗み出した人の脂肪で石鹸を作ったり、コンビニ店員に銃を突き付けて開眼させたり、ハンドルから手を放して走行したり…。滅茶苦茶なのに、なんか奥深い意味を感じさせるのは、桁はずれのカリスマ性の成せるワザ。

けど、やってることは…、こじらせた中二病の果てのこと。

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で。

そんな彼が主人公とともに始めるのが、「ファイト・クラブ」です。

本作のタイトルでもある「ファイト・クラブ」は、殴り合いの会です。
痛みを感じることで、生を実感しようとするクラブ。
ただ、ここには現実感がありません。共感もありませんでした。…だって、痛いじゃないのよ。
以前、ビートたけしが言ってましたけど、本当の殴り合いなら、「素手で殴ったら、大抵一発で終わり」なんだとか。
血を流しながら、際限なくボコボコやっている彼らに、あんまりノレなかったわけ。

エドワード・ノートン演じる主人公が、初めてブラピを殴るシーンはリアルでしたけどね。「遠慮」と「本気」の中間くらいで。
デヴィット・フィンチャー監督がブラピには内緒で、「本気で殴れ」とノートンに指示したのだとか。その演出の妙が出てました。

で、そのリアリティが続けば良かったんですけど…

終盤なんて、ほとんど「世にも奇妙な物語」テイストです。
あんなところにも、こんなところにも「ファイト・クラブ」のシンパがいるって展開は、もはやファンタジーでしかありません。
だから、恐らくこれって…、本当は「夢オチ」なんじゃなかろうか。
ラストの崩壊シーンの後、きっと主人公は目覚めるんだと思うんですよ。

もしくは、死の間際の幻想なんじゃ?

そんな、地に足のつかない空気を感じたのです。

あ…、気づいたらちょっと否定的な感想に…。
セリフも映像も凝ってるし、終盤のサプライズの衝撃度は凄いので、名作と言われるのは分かるんですけど。

個人的に。
本作に漂うこの夢うつつ感は、フィンチャーの大傑作『セブン』よりも、怪作『ゲーム』に近い気がします。

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でも。

どちらかというと「断捨離」は好きなんで、物質主義の否定はよく分かります。

本作の筋とは違うけれど…
「物」に囚われるということは、すなわち、「金稼ぎ」を迫られるということ。
それは、現実社会で思い知らされるとおり、困難なことです。

「物質主義」にとっての最大の不幸は、「稼ぐ」ことが強迫観念になること。その「縛り」は、苦しいもんです。

「物」を捨てて生きられることができれば、本作が主張するように、それはそれは「自由」でしょうねえ。
そして。
そうした願望を携えた男(もはや男に限らない)どもは、本作公開の時より遥かに増えていることでしょう。

そう。

ブラピ演じる破壊衝動の権化:タイラー・ダーデンの登壇を望む者は、もっか増殖中なのであります。
否定的に書いたけど、考えてみたら…
今の時代にこそ、ふさわしい映画なのかもしれません。

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