ルパン三世 カリオストロの城 観てみたよ

投稿者: | 2019年8月1日

無題1
ルパン三世 カリオストロの城
(1979年 日本映画)
90/100点


どうしても我慢ならんことがあるのです。それは、テレビでやってる「懐かしのアニメ特集」なんかで、『ルパン三世』の名場面というと、必ず…

番組テロップ「名場面まで3…2…1…」
銭形「やつぁー、とんでもないものを盗んでいきました…あなたの心です」
スタジオ「わぁぁぁ…(歓声)」ってのが、むず痒くっていけない!

何度も何度も何度も何度も、ルパンの名場面といえばひとつ覚えでこのシーンばかりで、忸怩たる思いがするのです。

というわけで、毎回同じ場面だけを取り上げる「懐かしのアニメ特集」に辟易し(『アルプスの少女ハイジ』も、「クララが立った!」ばっかり…。)、自分で名場面を掘り下げようと考えたのでありました。

<完全ネタバレです。>

『カリオストロの城』本当の名場面集。

1.偽札

無題
ルパン「前祝にぱぁっとやっかー!」

冒頭の掴みが完璧じゃないですか。国営カジノの金庫に押し入り、まんまと大金をせしめたルパンが、すぐさま「ゴート札」と呼ばれる伝説の偽札だと見抜きます。「復讐」の意欲まんまんに、偽札作りを暴くことを決意する場面。

たまに見かけるテレビスペシャルでは、相変わらず似たような「お宝」を設定するマンネリのプロットですが、本作では「偽札の謎」が物語の軸という斬新さ。斬新ったって、1979年の作品ですぜ。

さらに。

フィアットの天井を開けて札束をばらまく、映画として輝いた「絵」を見せます。もちろん、アニメでしか成立しないファンタジーな描写ですけど。(プロの強盗が、札束を見せびらかしながら車を走らせるなんてありえません)

本作は実写アクション映画に負けないクオリティでありながら、アニメという利点を最大限に生かしたファニーな場面が散りばめられています。それでも、なぜかマンガチックに感じさせないところが、宮崎駿の天才的な手腕です。

(ただし、良い子はゴミの大量放棄はダメ、絶対。)

2.冒頭のカーアクション

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次元「こんどのは、ただのタマじゃねーぞぉ」

まんまとカリオストロ公国に潜入したルパンと次元。フィアットのタイヤがパンクするという、意外な整備不良。そして、のどかな場面の直後に始まるカーチェイス。この緩急が素晴らしい。

逃走車には、ご存じのようにウエディングドレスを着込んだ花嫁・クラリス。それを追う悪漢たち。この騒動にビビッと楽しげな予感を感じ、ルパンも後を追います。にったりとした笑顔をたたえて。

かのスティーブン・スピルバーグが、「映画史上、最も完璧」と評したと噂のカーチェイスシーンの始まりです。

確かに、相当に洗練されています。対向車線のトラックを避けつつ、次元の銃撃にびくともしない悪漢の「ただならぬ車」。反撃に爆弾を転がされ、これを避けつつ、ルパンは崖を登り詰めて道なき道を突っ切って回り込む。次元は特殊な銃弾を銃に装鎮。細かいですけど、弾を咥えた感じで「今度のは…」というセリフ回しがいいですな。そして見事に悪漢を撃破。

そして、BGMがルパンのテーマのジャズバージョンときたもんだから、もう完璧。1979年より技術も上がっているはずの今、なぜこれに匹敵するものが作られないのかという不思議…。

3.潜入

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ルパン「あったり~。いー勘してるぜ~」

強固に警備されたカリオストロの城への潜入のため、あえて銭形を呼び寄せるルパン。陽動に銭形を使うとは舐められたもんですが、インターポールとはいえ、きっちりと日本の警察組織が出張ってくるところが好感ポイント。

この潜入シーンも、なんだかんだいって潜入した…、と省かれそうな潜入方法を細かに描写します。地下水路をたどっていく場面は、「泳げない、暗いとこ怖い、狭いとこ嫌い」の私には、ガクブルものでした。

さて、内部潜入後、銭形にまんまと変装したルパンは護衛を心理的に操り、大混乱を起こします。こんな細かいところでも、あったまいーなーと思う展開。

護衛を馬鹿にしきった銭形ルパンの顔がまた、いい。

4.大ジャンプ

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ビヨーーーーーン。

本来、ルパン特有の道具を使ってクラリスの監禁塔まで移動すればいいだけの話ですけど、映画的に面白くするため、あえての大ジャンプシーンです。完全にマンガチックであり得ない描写ですが、「あえて」の描写なのでOK。しかも全然陳腐になっておらず、ウィットにさえ感じます。

(ただ、その後に塔をよじ登る為のロープが細すぎて、手が切れそう…。)

5.ファーストピンチ

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ルパン「そんなこといって…後で後悔するぜ」

クラリスの部屋に侵入を果たしたルパン。実はここから始まるクラリスとの交流シーンは、あまりにルパンが優しすぎてノレなかったクチです。

ちょっとロマンチック過ぎるかな、と。

他の方のブログを見て、この場面では先の展開を示唆したセリフがあると知って驚きました。ルパン「ドロボーは空だって飛べるし、湖の水を飲み干すことだってできる」つまりこの後、落とし穴に落とされても平気であり、終盤で湖を干上がらせることの暗示だと。

初鑑賞から20年以上経って新しい発見があるとは…、ちょっと震えますね。

そして。

伯爵一味に取り囲まれて窮地に陥るルパン。いたって冷静なのは、穴に落とされることを分かっているから…?

さて、ここからが本作のストーリーテリングの素晴らしさ。この巧さ、今後の新作ルパンで少しでも垣間見ることなどできるのでしょうか…?

6.大逆転…からの~大ピンチ! からの~逃亡!

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不二子「えりの裏よ。ルパンはいつもそこに隠すわ」

ここが、本作のみならず、個人的にはシリーズ全体で見ても、最高レベルの名場面。地下からの大脱出劇の始まりです。

銭形との共闘でまんまと脱出を成功させたルパン。城内を駆け巡り、オートジャイロを奪い去るという、血沸き肉躍る大逆転を展開させます。空中から、クラリスの監禁塔へ再び近づきます。

ここでは、不二子がアクションでもセリフでも大活躍。クラリスから「(ルパンに)捨てられたの?」と聞かれ、「まさか…、捨 て た の」と答えたり、ルパンに「ロープを出せ」と指示され、「偉そうに言わないで」と半ギレしたり。

純潔なクラリスには理解できない、渋い男女の会話のカッコ良さ。もはや熟年夫婦の域なのでありました。

そして、大逆転のままクラリス奪還を果たすと思った矢先の「銃撃」 撃ち抜かれ、崩れ落ちるルパン…

まさか! と思ったものですよ、初見の時は。ルパンが撃たれ、身動きが出来なくなるだなんて…。

ライトな映画に見せかけて、このハードな展開! 何度思い起こしても興奮します。

さらに痺れたのは…。

指輪を返せば助けてやるという伯爵を信じ、クラリスはルパンに指輪を渡すように言いますがルパンは拒みます。そこで不二子が、「えりの裏よ。ルパンはいつもそこに隠すわ」と教えてしまうのです。またもや長年連れ添った仲間であることを伺わせる、これも大人の会話です。

前半では相変わらず「ふーじこちゃーん」な感じだったルパンが、憎々しげに「不二子のやつめ」と毒づくのが、子ども心にショッキングでした。

7.大暴露

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銭形「ルパンを追っていてとんでもないものを見つけてしまった。どーしよー?」

クラリス奪還の最終局面。インターポールから手を引くように圧力をかけられた銭形は、ルパン逮捕を名目としてカリオストロ城に再突入。偽札工場で偽札を「偶然」見つけたように装い、テレビキャスターに扮した不二子がそれをテレビ中継してしまう、これまた感涙ものの共闘!

8.ラスト

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庭師「なんて気持ちのいい連中だろう」

私はどちらかというと、「あなたの心です」よりも、この庭師のセリフの方が気持ちよかった。ようはルパン一味と日本警察組織が手を組んで、みんなでクラリスを助けたんですね。

これ、『ワンピース』ばりの一致団結の「胸熱展開」じゃありませんか!

観終わって、こんなに清々しい気持ちになれるアクション映画なんて…、そりゃ国内外探してもそう簡単にはありませんぜ。

『ルパン三世』はまだまだ作られ続けています。一体いつになったら、『カリオストロの城』を超える、いや匹敵するだけでもいいけど、そんな作品が作られるのでしょうか。

もはや叶わぬことなのでしょうか? そう思い悩むファンは少なくないはずです。(勝手ながら、細田守あたりに新劇場版を作ってほしい…。勝手ですけど)

<その他の一言ポイント>

・冒頭の札束に埋もれた車内の後部座席に、五右衛門が座っているとは!

・スパゲッティのうまそうなこと。

・伯爵が歩いたままジョドーに服を脱がしてもらうのは、『アイアンマン』と一緒!

・各キャラが大活躍の中、五右衛門だけはやや地味な印象。多分、何でも切れる「斬鉄剣」の存在は、物語を運ぶ上でこの上なく厄介なのではないでしょうか。ドラえもんの秘密道具と一緒で、「そこでそれを使えば楽勝じゃん」となりがちだから。

しかしそれでも、「今宵の斬鉄剣は一味違うぞ」とかろうじて名セリフを吐かせるところが、ニクい。

・いちいち音楽がカッコいい。
序盤、伯爵がクラリスの指から指輪がなくなっていることに気づき、クラリスを叩き起こそうかと思いきや、思いとどまって踵をかえす場面の音楽が、細かいけどなぜかめちゃくちゃ好き。

・結婚式の神父にルパンが化けているのは見え見えでしたね。もうちょっと意外性がほしかった。

・終盤は、ちょっと失速している気もします。特に時計塔。それから指輪の謎が簡単過ぎ…。なぜ伯爵はこれに気づかなかったか?

・聞けば、製作期間半年というデタラメなスケジュールだったとか。

・ルパンがクラリスに惚れかけている…というのはいらなかった。あくまで「おじ様」であってほしかった。つまり…、ロリコンルパン。

というわけで、宮崎駿の記念すべき第1回監督作の感想でした。もう1回、活劇を作ってほしいなあ!!

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